語源 【男 / 女 / 乙女】

普段,私たちは, 「男」 と 「女」 を対語として理解しています。

しかし,標題の漢字を 〈かな〉 で書いてみましょう。

「おとこ」 「おんな」 「おとめ」 です。

こうしてよくよく眺めてみると, 「おとこ」 と 「おとめ」 が対語なんだと思えませんか?

「おとこ」 と 「おとめ」 は, 「おと」 が共通していて,末尾が 「こ」 と 「め」 で違います。

「おと」 は古語では 「をと」 です。 古語では 「をと」 「をち」 「をつ」 は同じことばで, 〈もとへ戻る〉 〈若返る〉 ことを意味する名詞です。

分かりやすいのは 「おとめ」 の方でしょう。 その 「をと」 に 〈女〉 を意味する 「め」 がついて 〈若い女〉 を表しています。

では, 「おとこ」 の 「こ」 は何でしょう? 「こ」 は女性の名前の末尾に 「子」 としてよく使われますので, 「こ」 もなんとなく 〈女〉 の象徴のように思われがちです。 しかし, 「子」 は昔は男性の名前にもよく使われたのです。

むしろ, 「女」 としての 「め」 に対して, 「こ」 は 「男」 を意味する接尾辞でもあったのです。

う~ん,それでもちょっと納得しにくいのでしたら, 男を意味する 「彦 (ひこ) 」 の 「こ」 。 女を意味する 「姫 (ひめ) 」 の 「め」 でなんとか納得しましょう。

はい,まあ,とにかく,ことばの発生からいったら, 「をとこ」 と 「をとめ」 が対語だったのです。

それでは 「女」 と対になる 〈男〉 を意味することばは何だったのでしょう・・・。

「女」 は古語では 「をんな」 ですが, 「をんな」 の前は 「をみな」 でした。 そこで,古語辞典の 「を」 で始まる見出し語の中で 〈男〉 を意味することばを探したら, 「をぐな」 が見つかりました。

「をぐな」 は,この語感からすると 「翁 (おきな) 」 に通じるものがあります。 おそらく 「をぐな」 が年老いていくと 「翁」 になるのかなあ・・・と思います。

ただ, 「翁」 は現代語の中では,よほど特殊な場合しか使われなくなりましたので, 「女」 だけが取り残された感じになりました。


話がちょっとそれますが, 「女 (おんな) 」 は公式語としては不適切だとか差別語だといわれることがあります。

それなら 「男 (おとこ) 」 も不適切語かというと,そういわれることはまずありません。

そりゃぁ, 「女のくせに」 とか 「女だてらに」 なんて言えば,叩かれて当然ですが,ただ 「おんな」 ということばを使うのがなぜ適切でないのか,私としてはなかなか理解しにくいのです。

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