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zoom RSS 語源 【僕 / 君 (きみ / くん) 】

<<   作成日時 : 2016/03/20 08:27   >>

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男性が自分のことをいう一人称代名詞にもいろいろあって, 「私 (わたくし) 」 「わたし」 「俺」 「わし」 などとともに, 「僕」 も使われる頻度の高いものの一つです。

普段,親しい友人同士の時などは自分のことを 「俺」 と言っている人でも, 「俺」 と言うのが憚られる状況では 「僕」 と言うことが多いようです。

『広辞苑』 や 『大辞林』 によると, 「僕」 は,自分と同等あるいは下の立場の人に対していう時に用いる,と説明されていますが,現実には,自分より目上の人に対する時にも,自分を 「僕」 と言っている人は大勢いて,そんなに違和感もなく通用しているように思います。

「僕」 は 「下僕」 の 「僕」 で,要するに 〈しもべ〉 という意味ですから,自分を謙遜していうことばになります。

ただ,この 「僕」 は,中国から入ってきたことばで,日本では初めは 「僕」 を訓読みして 「やつかれ」 と言っていたようです。 「やつかれ」 とは 〈奴 (やつこ) 吾 (あれ) 〉 が縮まったもので, 「やつかれ」 から 「やつがれ」 と濁音化して使われたようです。

奈良時代や平安時代の頃は 「やつかれ」 は男も女も自分をへりくだった言い方として使っていたようですが,その後,男性だけのあらたまった言い方になったとのことです。

なお, 「やつがれ」 は古語辞典の見出し語としても載っています。


これに対して,相手のことをいう二人称代名詞のあらたまった言い方は, 「あなた」 「きみ」 ぐらいでしょうか。 「お前」 はほんとうはていねいな言い方なのですが,現代ではかなりぞんざいなことばになってしまいました。

「君 (きみ) 」 は現代では,かなり親しい自分と同等の立場の相手か,自分より下の立場の人に対して使うことばになっています。

しかし, 「君」 はもともとは 〈天皇〉 や 〈主君〉 など身分が相当に高い人のことでした。ですから,まあ,天皇や殿様ほどの偉い人ではないにしても,自分より目上の人に敬愛の気もちをこめて言うことばでした。

また,女性が男性を呼ぶ場合の親愛の気もちをこめた言い方でもありました。

しかし,どんなことばにも言えることですが,ことばのもともとの意味としては 〈品の高い〉 ものであっても,長い年月にわたって使われているうちに,その 〈品〉 は次第に失われていくものです。

今の時代,年上の人に 「きみ」 なんて呼びかけたら, たちまちのうちに 〈あいつは生意気なヤツだ〉 と叩かれてしまいます。


この 「ぼく」 と 「きみ」 を気軽に使うようにしむけた張本人は,実はかの幕末の志士,高杉晋作だったというのです。

高杉晋作が創設した騎兵隊は,武士から農民にいたるまでさまざまな身分の人たちで構成されていました。

そんな集団の中で,お互いに呼び合うのに身分をいちいち意識して呼び合うのは面倒このうえないことでした。そこで高杉は,身分の高低に関係なく 〈自分のことはボク,相手のことはキミ〉 と呼び合うようにと決めたのでした。これが功を奏して,隊の結束力がいっそう強まったとのことです。


余談になりますが,私は中学生と高校生の時 (昭和 30 年代初めから中頃にかけて) は,学校で上級生を呼ぶ時は, 「石田君」 とか 「松下君」 などと 「クン付け」 で呼んでいました。それは,私だけがそうしていたのではなく,ほかの人もみんなそうだったと思います。つまり上級生に呼びかける時は 「クン付け」 で呼ぶのが常識だったのです。少なくとも私の故郷の静岡市ではそうでした。

で,大学は,静岡をはなれて宮城県の仙台市で過ごしました。

大学のサークルで, 1 年生の私は, 4 年生の先輩を 「○○君」 と呼んだものですから, 2 年生の先輩から注意されてしまいました。 それから当分の間,私に貼られた 〈生意気な新入生〉 のレッテルは剥がれませんでした。

でも,語源的に言えば,私は本当の意味で先輩を敬って呼んでいたことになるんですよね。

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** 《参考図書》 **

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http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

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