語源 【機嫌 / ご機嫌よう】

よく,彼女は今日は 「機嫌がいい」 とか 「機嫌が悪い」 というような言い方をします。

「機嫌」 の語源からいったら,それはおかしな言い方ということになります。

「機嫌」 は,本来は仏教のことばで,もとは 「譏嫌」 と書きました。

「譏」 は 「そしる」 で,人のことを 〈悪く言う〉 〈非難する〉 〈けなす〉 ことです。 「嫌」 は,漢字そのままで 〈嫌う〉 です。

ですから, 「譏嫌」 は,もうそれだけで 〈人の悪口を言って嫌う〉 ことなのです。

そう解釈すれば, 「機嫌がいい」 なんてことはありえないことになります。 「機嫌」 は 〈悪い〉 に決まってます。わざわざ 「機嫌が悪い」 と言わなくてもいいくらいなのです。

つまり, 「彼女は今日は機嫌です」 と言えば, 〈彼女は機嫌が悪い〉 と言ったことになるはずなのです。

ところが,この 「機嫌」 ということばが,仏教と切り離されて一般世間のことばとして使われるようになって, 「機嫌」 だけでは,気分がいいのか悪いのか,その 〈ものさし〉 がはずされてしまいました。

つまり, 「機嫌」 は単に 〈気分〉 だけの意味になって,その 〈気分〉 が 〈いい〉 〈悪い〉 は含まなくなってしまいました。

だから,冒頭のように 「機嫌がいい」 「機嫌が悪い」 のように言う必要が出てきたというわけです。

「ご機嫌うかがい」 ということになると, 「機嫌」 がいいのか悪いのか分からないので,その 「機嫌」 の様子を偵察にいくような感じになります。

そして,驚くべきことは, 「機嫌」 だけで 〈機嫌がいい〉 という意味に使われることまででてきました。

「彼女,今日はご機嫌だね。きっと何かいいことがあったんだよ」 の場合の 「ご機嫌」 は 〈機嫌がいい〉 状態を言っています。

別れる時の挨拶として 「ご機嫌よう,さようなら」 ということばがあります。

この場合の 「ご機嫌よう」 も, 〈どうぞ,いい気分でいてください〉 ですね。

このように,使われ方によって,いい意味にも,悪い意味にもなるような言葉は,外国人が日本語を習得しようとする時に,やっかいになるでしょうね。


なお,以前は, 「機嫌」 を 「気嫌」 と書き間違えたことが多く見られました。意味からすると 「気」 と書きたくなる気もちは分かります。

そういう間違いは,ワープロやパソコンではさすがになくなりました。

------

** 《参考図書》 **

記号-番号 については,

《参考図書》 リスト
http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

を参照してください。

A-01 A-02 A-03 A-11 A-53
B-02 B-03 B-03-2 B-05 B-06 B-12 B-13 B-17 B-17-2
D-31(2)
E-07 E-10
J-02 J-05 J-13
Q-11

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック