語源 【おそらく】

A) あしたは運動会ですが,おそらく雨で中止になるでしょう。

B) 隣のご夫婦は,このところかなり険悪な関係になっているようです。この分だと,近いうちにおそらく離婚すると思います。

C) きのう,今日と大学の入学試験でしたが,僕の感触としては,おそらく合格できそうです。

D) 次の首相指名選挙でも,おそらく安倍晋三現首相が再選されるだろう。


このように, 「おそらく」 は, 〈確実にそうとは断定できないが,多分そういうことになると思われる〉 というようなニュアンスで,先のことを予想する場合に使われる副詞です。

「おそらく」 は 「恐らく」 と書きます。

実は, 「恐らく」 だけだと,本来は名詞なのです。副詞の場合は 「恐らくは」 が正しいのですが,その助詞の 「は」 が省略されてしまって 「恐らく」 だけで副詞として通用させてしまったものです。

「恐らくは」 は,もとは 「恐るるあくは」 で, 「恐るる」 + 「あく」 + 「は」 の構成でした。

この 「あく」 は, 〈事〉 を意味する形式名詞ですが,その前の動詞の活用語尾の 「る」 と結合した場合は, 「・・・るあく」 が 「・・・らく」 になることがあります。

つまり, 「恐るるあくは」 が 「恐るらくは」 になり,そこからさらに 「恐らくは」 に変形してきたものです。


前述のように,意味としては 〈多分〉 という推量なのですが, 「恐るる」 と言っているのですから,そのように推量するのが 〈恐い〉 〈心配だ〉 という不安な気もちがあり, 〈できることなら,そうなってほしくはない・・・〉 という思いが潜んでいるのです。

ですから,冒頭の文例のうち, A) B) は, 「おそらく」 の本来の使い方にかなっています。もちろん,それは,気もちとしては 〈運動会が中止になってほしくない〉 〈お隣さん夫婦は離婚しない方がいい〉 と思っている場合のことです。

C) は,普通は 〈合格したい〉 でしょうから,その場合の推量に 「おそらく」 を使うのは適当とはいえませんる

D) は,私の気持ちとしては 「おそらく」 でいいのです。私は,できることなら現首相が続投することはイヤですから。

ただ,現在は,期待どおり,希望どおりのことをいう場合でも 「おそらく」 を使うことも許容されているようです。

でも,あくまで 〈許容されている〉 のであって,使い方として 〈正しくはない〉 ことには変わりありません。できれば,そのような使い方はしない方がいいのです。

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** 《参考図書》 **

記号-番号 については,

《参考図書》 リスト
http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

を参照してください。

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この記事へのコメント

2019年09月17日 21:42
「恐らく」の語源を気になって調べた時、つまり正に今、頭に思い浮かんだ言葉があります。

「思えらく」若しくは「思へらく」

四段活用動詞「思ふ」の已然形+存続の助動詞「り」の連体形+名詞「あく」+格助詞「は」
ということで
思へるあくは→思へらくは

ということなのではないかなと推測します。
(私が)思っていることには、という意味でしょう、きっと。「恐らく」よりも中立に使えるはずです。
ナッシー
2019年09月18日 08:40
2019.09.17 のコメント,ありがとうございます。

私が中学生の時 (昭和30年代前半) ,当時 50 代後半と思われる社会科の先生が, 「思えらく」 ということばをけっこう使っていたのを思い出しました。

そうですね。 「自分が思うには」 というような意味で,この場合には,その内容の良否のいかんに関係なく使えることばでしょうね。

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