語源 【地団駄を踏む / たたらを踏む / 駄々をこねる】

私のボウリングのこれまでの最高点は 279 です。

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このスコアを出す以前は, 1 フレームから 7 連続ストライクということはありましたが,この日は,とうとう 9 フレームまでストライクが続いてしまいました。

そうなると, 「ナインコール」 といって, “ただいま, 19 レーンの○○様が 9 連続ストライクとなっています。パーフェクト達成まであと一歩です” というような場内アナウンスがされます。何人もの人が私の後ろに集まってきました。

さて, 10 投目です。緊張するな,と言われても,そりゃ緊張します。

来た !! ストライクっ !! そう思ってガッツポーズを取ろうとした瞬間, ・・・ ⑩番ピンが残っていました。

悔しい !! 思わず,アプローチの床を,バタバタと何度も踏み叩いてしまいました。

もちろん,そんな行儀の悪いことをするのはマナーに反することなのですが,そこはやはり素人ですから・・・・。


このように,ここ一番というときに失敗したり,うまくできなかったりした時に,悔しさのあまり地面や床を何度も激しく踏みつけることを 「地団駄を踏む」 と言います。


この 「地団駄を踏む」 ということばは,小学生の時からすでに知っていました。知っていた,といっても, 「地団駄」 なんていう漢字を知っていたわけではありませんから, 「じだんだを踏む」 という耳ことばとして知っていたにすぎません。

「じだんだを踏む」 という動作と,それがどういう意味なのかは何となく分かっていました。でも, 「じだんだ」 って何? とよくよく考えると全然分からなかったのです。

中学生の時に,国語の教科書で 「地団駄を踏む」 ということばが出てきたので,先生に 「地団駄って何ですか?」 と質問しました。

国語の先生も 「地団駄」 を知らなくて, 「明日までに調べておく」 といって保留になりました。

翌日, 「調べてみたけど,大がかりな装置みたいなので,うまく説明できない。まあ,鍛冶屋で使っている 「鞴 (ふいご) 」 のもっと大がかりなものだと思ってくれ」 との説明がありました。

私は,鞴というのは知っていました。というのは,私が小学校の低学年の頃まで,私の家のすぐ裏に小さな鍛冶屋があったからです。時々,その鍛冶屋に遊びに入ったことがありました。

鉄を焼く時に,火の強さを一定に保つために風を送る装置でした。

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まあ,私が子どもの頃は, 「火吹き竹」 という竹筒があって,それで火に向かって口で息を吹き付けて火勢を強めるのに使いましたが,それを器械的な仕組みにしたのが鞴 (ふいご) というものです。

それでも,上の図の左に突き出ている棒をかなりの速さで押し引きして,吐出口からの風が途切れないようにしていました。

町の鍛冶屋レベルでしたら,この程度のものでなんとか事足りたのでしょうが,製鉄所となると,こんな規模のものでは間に合いません。

日本の本格的な製鉄は,島根県の出雲地方で始まったとされています。

そこで使われた大がかりな足踏み式の鞴を 「蹈鞴 (たたら) 」 あるいは 「地蹈鞴 (じだたら) 」 と言いました。

下の図のように,釜の両側から,人が踏み板を激しく踏んで,釜に風を送る装置です。

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解説図は, 「蹈鞴」 の片方だけを示したもので,これが釜の両側にあるわけです。


とにかく,この人足が板を足で踏む動作は,相当に激しく早くなければなりません。

その動作が, 〈悔しさのあまり地面を激しく踏んづける〉 動作を連想させることから, 「地蹈鞴 (じだたら) を踏む」 ということばが生まれました。

その 「地蹈鞴 (じだたら) 」 が訛って 「じだんだ」 になり,その 「じだんだ」 に,後から 「地団駄」 の漢字が当てられたのです。


ところで, 「じだんだを踏む」 ということばとは別に 「たたらを踏む」 ということばがあります。

これは,ちょっとした昇り段差につまずいて,前に転ぶのをこらえようとして “おっとっと・・・” というように, 2,3 歩踏み出したり,階段を駆け足で昇っていて,ちょっとよそ見をしていたら,最後の段へ昇りきっているのに気がつかずに,もう一段あると思って足を上げてしまい,踏み外したようになってしまってから足を踏んだりする状態を言うことばです。

このような場合の 「から足を踏む」 動作と 「蹈鞴を踏む」 動作が同一視できるものなのかどうか,ちょっと疑問に思えるのですが,実際の蹈鞴を踏んで作業をしている動作を見たことがあるわけではないので,この疑問に深入りするわけにもいきません。

また, 〈悔しさ〉 で踏む場合が 「じだたら」 で, 〈から足〉 を踏む場合が 「たたら」 というように使い分けた理由についても,どの参考図書にも触れられていませんでした。


なお,子どもが,自分の思いどおりにならなくて,足をバタバタさせて泣いて暴れる様を 「だだをこねる」 と言います。

デパートで,見るからにお上品そうな洋服を着た女の子が,自分が欲しい物を買ってもらえなかったからでしょうか,涙と汗を振り飛ばすようにして,床にお尻を落として,両足をバタバタさせて, 「ママのバカヤロー !! 」 なんてお嬢様らしくない暴言をはいて泣き叫んでいたのを見たことがありました。

この 「駄々をこねる」 の 「だだ」 も, 「たたら」 や 「じだたら」 から転じたことばということです。

「だだをこねる」 ときの足をバタバタさせる様子が,やはり 「蹈鞴を踏む」 足の様子に結びつくのでしょう。

この場合の 「こねる」 は, 「理屈をこねる」 などと同じように, 〈無理なことを言って相手を困らせる〉 という意味です。


※ 「たたら」 の時代の製鉄のプロセスについては,次のサイトに詳しく載っています。

http://www.wakou-museum.gr.jp/iron-01/


[追記]  2016.12.28

この記事の最初で,私のボウリングのこれまでの最高点は 279 と紹介しました。

ところが,昨日 (12月27日) , 最高点を 289 に更新しました。

といっても,ボウリング場公認のゲームではなく,自己練習でのスコアですが。

まあ,私は公認ゲームは,毎週 1 回,リーグ戦で 3 ゲームずつ投げているだけで,あとは全部,黙々と自己練習として投げているだけです。

そんなわけで,自己練習ですから, 「地団駄を踏んで」 悔しがるほどではないのですが,それでも心の中では 「地団駄を踏む」 くらいに悔しかったです。

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** 《参考図書》 **

記号-番号 については,

《参考図書》 リスト
http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

を参照してください。

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