語源 【きれい】

日本語の 「きれい」 の対象になる内容はけっこう広範囲にわたります。

A) あの会社の受付嬢は,皆さん,とてもきれいな人ばかりです。
B) 吉田の奥さんって,とてもきれいだよ。

C) きれいな花を見ると,心が穏やかになります。
D) 渓谷沿いに紅葉がきれいに色づいていました。

このように使われる 「きれい」 が,いちばん典型的な 「きれい」 さでしょう。

つまり, A) ~ D) のような例は, 〈見た目のきれい〉 〈視覚的なきれい〉 です。

語源的にも,このような使われ方が本来の 「きれい」 です。

「きれい」 は,もともと漢語の 「奇麗 ・ 綺麗」 です。

「奇」 は 〈すぐれている〉 の意で, 「麗」 は,もともとは 〈鹿の角が左右よく均整がとれている〉 ことを意味する漢字で,そこからやはり 〈美しい〉 ことを意味しています。つまり 「奇麗」 は, 〈抜きん出て美しい〉 ことです。

「綺」 は 〈綾〉 のことで 〈華やかな彩り〉 を意味します。ですから, 「綺麗」 は 〈艶やかに美しい〉 ことです。

「奇麗」 にしても, 「綺麗」 にしても,やはり本来は 〈目に映る美しさ〉 を言ったことばなのです。


このことばが日本に入ってきた当初は,日本でも,その本来の意味で使われていましたが,時代が進むにつれて,徐々に意味が広がって,日本独自の 「きれい」 の意味が派生してきました。

E) 彼女のきれいな歌声に,うっとりしてしまいました。
F) 彼は,きれいな愛のことばをいっぱい並べたてて私を誘惑してきた。

これらは,聴覚的な意味の 「きれい」 です。


G) 手をきれいに洗いましょう。
H) 罪滅ぼしにボランティアに励んで,少しはきれいな身になったと思います。

この場合の 「きれい」 は, 〈美しい〉 の意味ではなく, 〈汚れていない〉 という程度の 「きれい」 さです。


I) もう,あなたのことなんかきれいさっぱりと忘れて,新しい彼を見つけるわ。

こうなると,もう 〈美しい〉 の意味合いは完全になくなっています。 〈汚いこと,イヤなことをなくしてしまう〉 というニュアンスのようです。


J) 結婚するまでは,あなたとはきれいな関係でいたいの。

今どき,こんなセリフを言う女性は,もういないでしょうか。


なお, 「あんたのそのやり方って,きれくないよ」 などのように 「きれくない」 という言い方を時々耳にします。

「美しい」 や 「汚い」 などの影響で, 「きれい」 を形容詞と勘違いしてしまっているようです。

「きれい」 そのものはあくまで名詞です。 「きれいな」 「きれいだ」 のように形容動詞として使うことはありますが, 「きれい」 そのものを形容詞として活用させてはいけません。

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** 《参考図書》 **

記号-番号 については,

《参考図書》 リスト
http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

を参照してください。

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