語源 【矢も盾もたまらず】

私は 20 代の半ば,ある女性 (といっても,現在の妻ですが) と婚約しました。

婚約して 2 カ月後,私は仕事に関係する研修を受けることになりました。

その当時,私は東京にいたのですが,その研修は大阪で 3 カ月間,泊まり込みで受けるものでした。

研修が始まって 1 カ月ぐらい過ぎたら,婚約した彼女に無性に会いたくなりました。いったん 〈会いたい〉 って思ったらもうダメです。

もう矢も盾もたまらず,とうとう土曜日の昼過ぎに,新幹線で大阪から東京の彼女のところへと戻ってきました。

それからは,毎週,土曜から日曜にかけての新幹線通いのデートということになりました。

今思うと,私にもそんな若い時代があったんだ・・・・・。


そう・・・です。

「矢も盾もたまらず」 というのは,何かしたいと思ったら, 〈もう我慢ができなくなって,気もちがはやって,じっとしていられなくなる〉 状態のことです。


ところで, 「盾」 というのは,敵の銃弾や弓矢など,主として飛び道具的な攻撃から自身を守るためのものです。

「たまらず」 は 「堪らず」 です。つまり 「堪えられない」 ということです。

ですから, 「盾もたまらず」 は, 〈盾で防ごうとしても,堪えられない〉 ということです。それだけ,相手の攻撃の勢いが強いということです。

「矢も盾もたまらず」 は, 「矢もたまらず」 と 「盾もたまらず」 をひと続きにした言い方です。

その 「矢もたまらず」 の方の意味がちょっと分かりにくいのです。

下に掲げた参考図書によって,この 「矢もたまらず」 の解釈が異なっているのです。

ある参考図書では, 「矢もたまらず」 は 〈敵の矢の攻撃に堪えられない〉 としています。

しかし,別の参考図書は,矢は自分の方から射る矢のことで, 〈いくら矢で攻撃をしかけても敵の攻撃の勢いを止められない〉 という意味にとらえています。


私としては, (素人考えと言われるかもしれませんが) 「矢も盾も」 と二つのものを並列的に並べた場合, 〈敵の矢〉 と 〈自分の盾〉 とするのは不自然に思えてしまいます。

ですから,上の前者の解釈よりは後者の解釈の方が受け入れやすいのですが・・・・・。


まあ,その解釈はどうであれ,相手の攻撃にたじろいでしまう状況に変わりはありません。

そんな状況においては,できれば早いとこ退散したいでしょう。

そういう気もちの焦りが 「矢も盾もたまらず」 です。


でも・・・,私としては,ちょっとスッキリしないのです。

語源的に解釈すると, 「矢も盾もたまらず」 はどちらかといえば 〈逃げ出したい〉 気もちを言うことばになりますが,実際に私たちが 「矢も盾もたまらず」 を使うのは,そういう消極的な場合ではなく,上の私の新幹線デートのように,積極的に行きたい,積極的にやりたい場合に使うことばです。そこのところが,ちょっと引っかかります。


なお,参考図書によっては 「盾」 を 「楯」 と書いているものもいくつかあります。

私も,個人的には 「楯」 を使いたいのですが, 「楯」 は常用漢字に入っていません。


常用漢字に入っていないということは,その漢字は,少なくとも役所の文書や,その他マスコミなどの公的な文章では,原則として使わないということです。

私的な書き物の中で,そういう漢字を使うのは,個人の自由です。

といっても,常用漢字にない漢字を使って,それを読めない人がいても,その人を責めることはできません。

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** 《参考図書》 **

記号-番号 については,

《参考図書》 リスト
http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

を参照してください。

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