語源 【いたずら (悪戯) 】

A1) 警察は,銀行強盗に人質になった行員や客を救い出そうと,犯人に呼びかけているが,犯人からは何の応答もないまま,時間だけがいたずらに過ぎていった。

A2) 君ももう 30 歳を過ぎたのだから,気の向くままにいたずらにお金を使ったりしないで,将来のことを考えて貯金するようにしたらどうだ。

B1) 玄関のチャイムのボタンを押しては,急いで逃げ去るような幼稚ないたずらをするのは,田中さんちの次男の中学生らしい。

B2) 最近のテレビの 「どっきりカメラ」 は,芸能人が芸能人にいたずらを仕掛けるというパターンですが,このテの番組の初期のものは,芸能人が一般の人を騙すという企画でした。


上の 「いたずら」 の 4 つの例のうち, A) の 2 つの 「いたずら」 と B) の 2 つの 「いたずら」 では意味が違います。

A) の場合は 「いたずらに」 という形で, 〈無駄に〉 〈無益に〉 〈意味もなく〉 というような意味の副詞的な使い方になっています。

B) の場合の 「いたずら」 は 〈悪ふざけ〉 〈面白半分〉 のような行為を意味する名詞です。


この B) の 「いたずら」 ということばも,もともとは A) の 「いたずら」 ということばから発展したものです。


A) の本来の 「いたずら」 の語源にはいくつかの説がありますが, 「いた」 + 「つら」 の語構成ということでは共通しています。

「いた」 は, 〈大いに〉 〈はなはだ〉 〈たいそうな〉 というような意味の 「いたく」 あるいは 「いと」 というのが一般的なとらえ方です。

「いたく感動した」 「いと美しい」 などと使われる 「いたく」 「いと」 です。

「つら」 は, 〈むなしい〉 の意味の 「うつろ (空ろ ・ 虚ろ) 」 の変形ととらえるのが一般的です。 「つらい (辛い) 」 としている説もあります。

まあ,だいたいの参考図書は 〈大いにむなしい〉 がもともとの 「いたずら」 の意味だとしています。ですから,表記も本来は 「いたづら」 なのです。

ただし,現代かなづかいでは, 〈うつろ〉 の意味合いがかすんでしまっている場合は 「いたづら」 としないで 「いたずら」 と表記することになっています。

この意味の 「いたずら」 は 「徒」 と漢字で書くことがあります。

吉田兼好が書いた 『徒然草 (つれづれぐさ) 』 の 「徒」 も 〈意味もなく〉 〈思いつくままに〉 というようなニュアンスです。


さて,その 〈無駄な〉 〈無益な〉 という意味の 「いたづら」 が, 〈他人に苦痛を与える〉 〈他人を怒らせる〉 というニュアンスを含むようになったのは室町時代の終わり頃からとされています。

ただ,その場合の 〈他人の苦痛や怒り〉 は,それほど大げさなものではなく,すぐにおさまるような軽い場合に 「いたづら」 が使われたようです。

それがさらに発展して,そういう悪意のあまりない,他人をからかう程度の行為を 「いたづら」 と言うようになったわけです。


なお, 「いたずら」 を 「悪戯」 と書くのはもちろん当て字です。


私も 「いたずら」 をするのはけっこう好きですが, 「いたずら」 も度を越すと 「いたずら」 とは言えなくなります。

私は, 「いたずら」 が 「いたずら」 で終わる目安は,相手が比較的早いうちに 「いたずら」 と気がつく,遅くとも 2,3 時間後までには 「いたずら」 と思ってくれるというように思っています。

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** 《参考図書》 **

記号-番号 については,

《参考図書》 リスト
http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

を参照してください。

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