語源 【クジラ (鯨) 】

生きている鯨を,ナマで直接に見たことがある人って,そんなにはいないと思います。私も見たことがありません。まあ,ねえ・・・,水族館にもいませんからねえ・・・。

見た目には魚類のようではありますが,もちろん哺乳類であることは子どもでも知っています。動物の中では,世界最大の大きさでしょうか。

日本人は,大昔から鯨を食用にしてきました。
昔は,日本近海にも鯨がいたようで,縄文人は,たんさんの船で鯨を浅瀬に追い込んで,身動きができなくなったところで,モリを打ち込んで捕らえていたとのことです。

ただ,近年は,鯨の保護のため,商業的捕獲を禁止する世界的な運動が盛んになって,日本の食卓に鯨肉が見られなくなりました。

まあ,もともと魚介類が食べられない私にとっては,どうってこともないのですが・・・。

あ,上で鯨は魚類ではない,と書いたことと矛盾していますが,鯨を食用として見たときには,私にとって鯨はまぎれもなく魚類なのです。


さて, 「鯨」 の語源ですが,いろいろな説があって,どれが有力な説ともいいにくそうですので,いくつかの説を紹介しておきます。

1) 「くししし」 が訛って 「くじら」 になった。
 「くし」 は 「奇し」 で 〈珍しい〉 ことをさします。 「奇しくも (くしくも) 」 の 「奇し」 と同源です。 「くししし」 の後ろの 2 拍の 「しし」 は 〈獣〉 の意味です。 昔の人にとっても,あまりにも大きな体なので 〈魚〉 というよりは 〈獣〉 と見なしたのでしょう。ただ, 「しし」 は 〈獣の肉〉 を意味することもありますので, 「くししし」 は 〈貴重な食べ物〉 を意味したとも考えられます。

2) 「くししら」 が訛って 「くじら」 になった。
 「く」 は 〈大きい〉 を意味する朝鮮古語です。 「しし」 は 〈獣〉 です。 〈ら〉 は名詞をつくる接尾語です。

3) 「くろしら」 の約。
 皮が黒くて,内側の肉が白いところから 「黒白 (くろしら) 」 と言われていたものが縮まって 「くじら」 と言うようになったという説です。

4) 上の 3) と同じ理由で 「肉白 (にくじろ) 」 と言っていたのが,語頭の 「に」 が脱落して 「くじろ」 になり, 「くじら」 に転音したという説もあります。

5) 「くちびろ」 の約。
 口が大きいところから 「口広 (くちびろ) 」 と呼ばれていたものが縮まって 「くじら」 になったとする説です。
 ただし,この説だとすると 「くぢら」 にならなければならないので,ちょっと疑問です。

6) 常陸国に久慈理 (くじり) という岡があって,その形がこの生き物の背中に似ていたので 「くじり」 と呼ばれ,それが 「くじら」 に転音したという説です。
 「久慈理」 という岡の画像をネットで検索してみましたが,見つかりませんでした。次のサイトに 「久慈理」 と 「鯨」 の関係が書かれていましたので,参考までに。
 http://www.t-aterui.jp/hitachi/h-kujigawa01.html


なお, 「鯨」 は古名では 「いさな」 と呼ばれていて, 「勇魚」 と書かれました。


ところで, 「鯨が潮を吹く」 とよく言います。

鯨があの大きな口から大量の海水をのみ込んで,その海水を,あの背中の穴から吐き出しているように思われていますが,それは間違いのようです。

鯨の背中の穴は,実は鼻なのです。

上に書いたように,鯨は哺乳類ですから肺呼吸をします。そのために,時々海面から口を出して,一気に大量の空気を取り込みます。まあ,あの大きな体ですから,相当の時間,海中に潜っていられますが,それでも限度がありますから,空気を吐き出す必要があります。

そこで,背中にある鼻から一気に空気を吐き出します。その時に,鼻の穴の近くにある海水が,その吐き出す空気の勢いに引っ張られて空中に飛び上がっているだけなのです。

一説には,鯨の体内で温かくなった空気が,鼻から吐き出される時に急激に冷えるので,それが水蒸気になって,あたかも水が噴き上げられたように見えるとも言われています。


「潮を吹く」 といえば,鯨だけでなくイルカも同じように潮を吹きます。

イルカの 「潮吹き」 も鯨と同じ理屈です。

・・・・ていうか・・・・,実は鯨とイルカは,本来同じものなのです。

鯨の小型のものがイルカなのです。

イルカは,全長 4 m 未満のもの
鯨は,全長 4 m 以上のもの

と呼び分けているのだそうです。


また, 「鯨」 という漢字の 「京」 は 〈みやこ〉 の意味はまったくなくて,これは数の単位の 「兆」 のさらに上の 「京」 (けい) で, 「鯨」 は 〈巨大な魚〉 を表しています。

「くじら」 には 「鯢」 という漢字もあります。

「鯨」 がオスで, 「鯢」 はメスです。

動物をオスとメスで,漢字を使い分けるのは,ほかにも 「鴛鴦 (おしどり) 」 や 「麒麟 (きりん) 」 があります。いずれも,前の漢字がオス,後の漢字がメスです。


[追記]  2019.10.16

上の 1) ~ 6) 以外に,次の説を書いている本がありました。

7) 「くじら」 は 「酷旨了」 で, 「酷 (く) 」 は 〈程度が甚だしい〉 の意, 「旨 (じ) 」 は 〈おいしい〉 の意, 「了 (ら) 」 は接尾語で,つまり 〈とてもおいしい魚〉 という意味だといいます。

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** 《参考図書》 **

記号-番号 については,

《参考図書》 リスト
http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

を参照してください。

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