語源 【おくびにも出さない】

「まあ,ねえ・・・。ウチは大学の付属高校だから,ありえない話じゃないけど,鈴木副校長が,この4月から大学の准教授になるんだってさ」
「ほんと,驚いたわ。そういう話って,少なくとも半年前には決まっていると思うんだけど,副校長,そんな様子はおくびにも出さなかったよね」

思っていることや,すでに決まっていることなどを,心の奥におさえこんで,それらしい様子や素振りを少しも表に出さないことを 「おくびにも出さない」 といいます。

「おくびにも出さない」 という表現以外に 「おくび」 なんてことばを使うことはまずありません。

『広辞苑』 には, 「おくび」 は 〈胃にたまったガスの,口腔外に出るもの〉 で 〈ゲップ〉 のこととあります。

ですから, 「おくびにも出さない」 は,そのようなゲップさえも出さないくらい,心の中のことを表に出さないで,隠しておく,という意味になります。

下に掲げた参考図書のほとんどが,そのように語源を説明しています。

でも,その説明は少し不親切に思います。三段論法の真ん中の論,つまり二段目が説明不足に思います。

適切かどうか自信はありませんが,私なりにその説明不足の部分を補ってみようと思います。

この 「おくびにも」 の 「にも」 の裏には, 「ことばや態度にも」 が隠れていると考えたら分かりやすいのではないでしょうか。

「おくびにも,ましてやことばにも態度にも出さない」 という意味だと思うのです。

「おくび」 つまりゲップというものは,自分の意思でコントロールできずに自然に出てきてしまうものです。

それに対して, 「ことば」 や 「態度」 は,意識的に表面に出すものとします。

つまり, 〈無意識に表面に出てしまうこともなく,ましてや意識的に表に出すこともしない〉 ことが 「おくびにも出さない」 ということだと思います。
画像
なお, 「おくび」 の漢字は環境依存文字で,このブログでは表示されませんでした。右に画像として示します。


最近のテレビのクイズ番組の中には,かなり難しい漢字,漢検一級レベルの漢字を書かせたり,読みを聞いたりする問題も出ます。

「おくび」 を書けるのは,林修,やくみつる,宮崎美子ぐらいでしょうか。いやいや,先日,モーリー・ロバートソンが 「ちみもうりょう (魑魅魍魎) 」 を書けたから, 「おくび」 も書けそうです。

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** 《参考図書》 **

記号-番号 については,

《参考図書》 リスト
http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

を参照してください。

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