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zoom RSS 語源 【弘法も筆の誤り / 弘法は筆を選ばず】

<<   作成日時 : 2018/10/14 13:01   >>

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猿は,木によじ登ったり,木の枝から枝へと飛びうつったりして,樹上の生活には慣れているけれど,たまには木から落ちることもある,ということを言う格言が 「猿も木から落ちる」 です。

また,架空の生き物とはいえ,河童 (カッパ) は水中で生活しているから,泳ぎが得意なはずなのに,たまには溺れることもある,ということを 「カッパの川流れ」 と言います。

どちらも, “いくらその道の名人 ・ 達人であっても,たまには間違いを犯すことだってあるのだから,凡人が少しぐらい誤りを犯したからといって,あまり気にすることはない” という慰めのことばでもあり,また, “名人 ・ 達人だからといって,あまり慢心したり油断したりすると,間違いを犯すこともある” という戒めのことばでもあります。


同じようなことを言うのに 「弘法も筆の誤り」 ということばがあります。

弘法大師は真言宗の開祖の空海のことでもあります。

その空海は,嵯峨天皇,橘逸勢 (たちばなのはやなり) と並んで三筆と称されるほどに書の達人でした。

その空海が,嵯峨天皇から,大内裏の應天門の額に字をかくことを命じられました。さて,空海が書いた額を門の高いところに掲げてみると, 「應天門」 の 「應」 の字の 「心」 の点が 1 つ足りないことが分かりました。
すると,空海は,たっぷりと墨をつけた筆を,門の下から額に向かって投げつけました。筆は見事に 「心」 の抜けていた点を補って, 「應」 の字が完成しました。


この話,どう考えてもウソとしか思えません。

その当時の應天門の額がどの高さに掲げられていたのかは分かりませんが,現在の平安神宮は,明治 28 年に,平安遷都 1100 年を記念して,往時の大内裏を 5/8 の大きさで再現して建設されたものだそうです。

下の写真は,平安神宮の應天門です。この門の 2 階 (というのかどうか) 部分の中央に 「應天門」 と書かれた額があります。

画像


現在のこの門でも,額はかなりの高さですが,これが 5/8 ということですから,実際にはもっと高かったことになります。

筆を額に当てることさえ難しそうなのに,その額の中の 「應」 の字の抜けていた点を補うなんて, 100 回投げたって無理そうです。だいいち,あの高さまで筆が届いたかどうかさえ疑問です。

・・・・ なーんて,せっかくの逸話にケチをつけるのは野暮というものです。
まあ,弘法大師はそれができるほどすごい人だったということにしておきましょう。


弘法大師の書のすごさを表すもう1つの格言は 「弘法は筆を選ばず」 です。

これも, “本当の達人はいくら粗悪な道具でも,それなりに上手な字をかくものだ” ということを言ったもので,凡人が,字が上手に書けないことを,とかく安っぽい筆だからとか,墨が滲んでしまうような紙だからとか,何かにつけて道具のせいにしたがるのを戒める格言です。


まあ,それはそれで,確かにそうなんですが,実は弘法はものすごく筆にこだわっていたそうなのです。

彼は,唐で筆の作り方を教えてもらってきて,帰国してから,筆職人に,狸の毛で,楷書用,行書用,草書用,写経用の筆を各1本ずつ作らせて,用途に応じて使い分けていたとされています。

「筆を選ばず」 どころか,筆への執着心は相当なものだったようです。

中国には 「能書は筆を選ばす」 ということばがあって,日本で,その 「能書」 を 「弘法」 に置きかえて,弘法様を崇めたことばをつくってしまったのが真相のようです。

・・・・ あ,またまた弘法大師様の偉大さにケチをつけてしまいました。


まあ,でも,偉大な人物になると,後世の人たちが,いろいろとその偉大さを伝えるために,いくらでもお話をつくってくれるものです。


あと 100 年もすると,王貞治というプロ野球の選手は,空振りしても,その勢いで体を 1 回転させてから,球を打ってホームランにしてしまった。

イチローは,アメリカの大リーグの現役時代に,試合中に何本もバットが折れてしまい,とうとう代わりのバットもなくなってしまったので,スタンドの観客の子どもが持っていた幼児用のプラスチックのバットを借りてバッターボックスに立ち,それでヒットを打ったことがある。

な〜んて話ができていたりして・・・・・。


なお,私は毛筆がとても苦手で,特に細い筆で,所定の枠の中に小さい字を書くのなんか不可能に近いです。

結婚式の披露宴の受付なんかで,毛筆とか筆ペンしか置いてない時は,ほんとに困ります。

一度なんか, 「今,手首を痛めていて字が書けないので,すみませんが書いていただけますか」 とウソをついて受付の人に代筆してもらったことがありました。

受付のまだ 20 代に見える茶髪の,見るからにヤンキーなにいちゃんでしたが,私が言った字を,スラスラときれいに書いてくれました。いや〜,あの時は悔しかったてす。


さらに,なお・・・ですが,冒頭に,同じような意味のことばに 「猿も木から落ちる」 「カッパの川流れ」 があると書きました。

でも,似たようなことばとはいっても,誰かを慰める時には,その慰める相手によっては,どのことばを使うかに気をつけましょう。

少なくとも,上司とか自分より年配の人には, 「猿」 や 「カッパ」 は使わないほうが無難かと思います。

−−−−−−

** 《参考図書》 **

記号-番号 については,

《参考図書》 リスト
http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

を参照してください。

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