語源 【カラス (烏) 】

昭和 18 年生まれの私は,子どもの頃は,カラスをすぐ近くで見た記憶はありません。

今の時代のように,都会でも,カラスがゴミの集積所のゴミ袋を食いちぎって道路に散らかしたり,レストランや食堂の裏口のボリバケツをカラスがひっくり返して残飯をあさったりするなんてことは,私が子どもの頃には考えられない光景でした。

私が子どもの頃のカラスのイメージは,童謡 「七つの子」 の影響もあったとは思いますが,体は大きくても 〈かわいい〉 鳥でした。

私がカラスを最初に間近に見たのは, 20 代も後半になって,指定の場所にゴミを出しに行った時に, 3 羽のカラスがゴミ袋をつついていた時でした。

それまで抱いていた 〈かわいい〉 カラスのイメージが一変してしまいました。

どう猛で,陰険で,ずる賢こそうな目突き,もう野獣そのものでした。

画像


その時,思いました。 「七つの子」 の作詞者の野口雨情も,作曲者の本居長世も,カラスを間近に見たことがなかったんだろうな・・・・・と。


さて,その 「カラス」 の語源ですが,いくつかの説があります。

1) 「か」 は鳴き声, 「ら」 は添えられた語, 「す」 は鳥につけられる接尾語,とする説があります。 「か」 の鳴き声説はいいでしょう。 「す」 の接尾語というのも,ホトトギス,ウグイス,カケス,キギスなど,ほかのいくつかの鳥にも,語尾にスがつくものがありますから,まあ納得します。しかし, 「ら」 の添えられた語というのが,乱暴すぎます。なんだか,どうにも説明がつけられないから 〈添えられた語〉 で逃げてしまったような感じです。

2) 鳴き声が 「ころく」 と聞こえたのが, 「かろく」 → 「からく」 → 「からす」 と変化してくたという説もあります。まあ,動物の鳴き声を人間がどう聞き取り,どう文字で表現するかは,実はむずかしい問題なのです。日本人は,犬は 「ワンワン」 と鳴き,猫は 「ニャーニャー」 と鳴くことにしていますが,本当にそう聞こえたのかどうかは怪しいのです。乳幼児の頃から,周りの大人が,ことばで 「ワンワン」 とか 「ニャーニャー」 と教え込んでしまったから,その先入観があって, 「ワンワン」 「ニャーニャー」 と聞こえると思い込んでいるだけなのです。カラスの 「カーカー」 もそれと同じです。そんな先入観なしであの鳴き声を聞いたら 「コロク,コロク」 と聞こえたとしても別におかしくはありません。

3) 体色から 「クロシ (黒し) 」 と言われたものが, 「くらし」 → 「からし」 → 「からす」 と変化してきたとする説があります。

4) やはり体色からですが, 「くろとり (黒鳥) 」 → 「くろす」 → 「からす」 と変化してきたとする説もあります。

5) 田畑の作物を食い散らして枯らしてしまうので 「枯らす鳥」 と言われ,後ろが省略されて 「からす」 になったという単純な説もあります。


参考図書によって, 1) の説が有力とか, 2) の説が有力とか書いていて,結局は決着していないようです。

まあ,当のカラスたちからすれば,どうでもいいことよ,勝手に議論してなさい。
はい,まさに 「カラスの勝手でしょ」 ってとこですかね。


[追記]  2019.07.24

カラスのほとんどは 「ハシブトカラス」 か 「ハシボソカラス」 のどちらかです。

「ハシ」 は 「嘴 (くちばし) 」 で,それが 〈太い〉 か 〈細い〉 かの違いです。

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** 《参考図書》 **

記号-番号 については,

《参考図書》 リスト
http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

を参照してください。

A-01 A-02 A-03 A-53
B-01 B-03 B-03-2 B-04 B-05 B-06 B-11 B-12 B-17 B-17-2
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この記事へのコメント

吉田 実人
2020年02月01日 10:56
鳥の名前の由来についての書物を見ましたがなかなか納得できる説がありませんでした。
日本名の鳥の名前は概ね平安時代かそれ以前の文献等に何らかの言葉で既に呼ばれていたようです。古典には疎いのですが倭名類聚抄なるものに読まれているようですが。

ギリシャ神話や神武東征に出てくるカラスのイメージを考えると、アポロンやアマテラスは光、太陽をイメージさせます。

そこで私の勝手な考えですが、シュメール文字の光を示す「カ」と自在心を示す 「ラ」に鳥を表す接尾語のスをつけて 「カラス」 二千年以上の歴史があるとかんがえます。
ナッシー
2020年02月02日 07:36
吉田 実人 さん

ナッシーです。コメントありがとうございます。

この 「カラス」 に限りませんが,ことばの語源というのは,たいていはいくつかの説があって,なかなかコレと特定できないものが多いようです。

私も,時々,自分の勝手な説を考えたりすることがあります。

吉田さんの説も,一つの説として参考にさせていただきます。
2020年12月22日 16:43
ラテン語でカラスは「クロース」で鳴き声から名付けられたとか
日本語のカラスも同じでは?
ナッシー
2020年12月22日 17:24
2020.12.22付 のコメントの方へ

コメントありがとうございます。

カラスは英語でも crow (クロウ) ですし,この記事の 2) の語源説も鳴き声からとしています。

あの鳴き声を,人間のことばとしてどう表現するかは日本語圏,ラテン語圏,英語圏など,微妙に違いが出るでしょうが,いずれも似てはいますね。

そう考えると,鳴き声語源説が有力になってきそうな気もします。

>さん
>
>ラテン語でカラスは「クロース」で鳴き声から名付けられたとか
>日本語のカラスも同じでは?

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