語源 【ひしひし / ひしめく】

A-1) ゆうべ,すっげえ恐ろしい夢をみちゃったんだ。ライオンがさあ,何 10 頭,いや何 100 頭ものライオンがさ,オレをグルッと取り囲んで,少しずつ半径を狭めて,ひしひしと迫ってくるんだ。いよいよ 5,6 メートルぐらいのところまで来たら,そのうちの 1 頭がものすごい形相 (ぎょうそう) でいきなりジャンプして,オレに襲いかかってきやかったんだ。おもわず 「ギャーッ !! 」 って悲鳴をあげちゃって,その悲鳴で目が醒めたんだけど,冷や汗をベッタリかいていたっけ。

A-2) オマエがオレを恨んでいるのはよく分かるよ。オマエの体から,何ていうか,黒い雲みたいな,怨念みたいな,モヤモヤとしたものが,湧き出てきて,ひしひしとオレの方に迫ってくるのが見える。


このような時に使う 「ひしひし」 は, 〈たくさんの数のもの,あるいはたくさんの量のものが,少しのすき間もないくらいに寄り集まって,せまってくる〉 さまをいう場合のことばです。

もともとは, 「ヒーヒー」 という鳴き声,あるいは物と物とが擦れ合って 「ミシミシ」 と軋 (きし) む音からきた擬音語 ・ 擬態語でした。

といっても,大勢の群衆が大きな足音を立てて迫ってくる場合とか,暴走族のクルマやバイクが大音響を轟かせてやってくる場合などでは, 「ひしひし」 と迫ってくるとは使いません。

どちらかといえば,音もなく,あるいはかすかな音をたてて迫ってくるのが 「ひしひし」 と迫る ・ 押し寄せる場合の表現です。


その 「ひしひし」 の 「ひし」 に,動詞をつくる語尾 「めく」 をつけたのが 「ひしめく」 です。

「どよめく」 「はためく」 「きらめく」 「ひらめく」 「よろめく」 などと同じ 「めく」 です。


B-1) 人気アイドル 4 人組 「モモスカ」 の解散お別れコンサートで,会場に入りきれなかったファンが,会場の外の広場に 1 万人以上もひしめき合って,踊ったり,叫んだりしていた。

B-2) 山手線の新大久保駅で人身事故があって外回り,内回りとも電車が止まった影響で,新宿駅構内は通勤客がごった返し,ひしめき合って,身動きもできない状況になっている。


要するに,人が動こうにも動けないくらいに混み合った状態で, 「ヒーヒー」 と悲鳴を上げたくなる気もちは察することができます。


「ひしめく」 は漢字で 「犇めく」 です。

日本では,牧場へ行っても,牛がひしめく状況はなかなか想像しにくいでしょうが,アメリカの西部劇映画では,カウボーイたちが何 100 頭もの牛を移動させる場面がよくあります。あのくらいになると, 「犇めく」 をイメージすることができそうです。


なお,私の個人的な印象ですが, 「ひしひし」 はどちらかというと 〈静かに迫ってくる〉 イメージですが, 「ひしめく」 の場合は必ずしも 〈静か〉 とは限らないように思います。

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** 《参考図書》 **

記号-番号 については,

《参考図書》 リスト
http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

を参照してください。

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