語源 【地獄耳】

A) 庶務の中田さんって,社員の恋愛事情の情報に詳しいよな。誰と誰が付き合い始めたとか,誰と誰がもうホテルに行くところまで進んでいるとか,あの二人は間もなく破局するとか,ほんとすごい地獄耳だから怖いよな。

B) お前,中学の時の国語の先生が,「鷲見 (すみ) 」 という生徒の名前を 「わしみ」 と読み間違えたとか,担任の先生の誕生日だとか, 10 年以上も前の,どうでもいいことをよく忘れずに覚えていられるなあ。ほとん,すげえ地獄耳だよ。

C) 「ねえ,昨日のお昼に,社内食堂で話した私たちの結婚式の日取りの話,あなたのすぐ後ろに森下係長がいたから,聞かれちゃったかもよ。どうしよう,まだ内緒のことなのに,社内に広まってしまうかも・・・・」 「ああ,係長なら大丈夫だよ。あの人,地獄耳だから,そういった情報は絶対に外へは漏らさないから」


上の 3 つの例文に,それぞれ 「地獄耳」 ということばが使われていますが, 3 つの 「地獄耳」 で意味が微妙に違っています。

A) の 「地獄耳」 は,いろいろな秘密情報をいちはやく聞きつける耳という意味です。 B) の 「地獄耳」 は,一度聞いたことを,いつまでも忘れないで覚えているという意味です。 C) の 「地獄耳」 は,聞いたことが秘密である場合,それをほかの人に言いふらしたりしないで,内緒にしておいてくれるという意味です。


私は,これまで 「地獄耳」 は A) の意味だと思っていましたが, 『広辞苑』 にも 『大辞林』 にも, B) の意味も載っていました。

C) の意味は,下にあげた参考図書のうちの何冊かがあげている意味です。


私は昭和 18 年生まれですが,子どもの頃,親から 「ウソをつくと地獄へ行って,閻魔 (えんま) 様に舌を抜かれるぞ」 と言われたことが何度もありました。

ということは,閻魔様はわれわれ下界の人間のことを,誰々がどんなウソを言ったのかを全部知っているということになります。

つまり,閻魔様は人の秘密を何でも知っているということで,その閻魔様は地獄の代表人みたいな存在ですから,そこら 「地獄耳」 ということばが生まれたというのが, 「地獄耳」 の語源の主流のようです。

でも,そうだとすると, 「地獄耳」 はやはり上の A) の意味になります。


もう一つ,意味はやはり A) ですが,この 「地獄」 とは,普通に生活していたら,知ることもできない特殊な世界のことで,それは売春宿のことだとしている本もありました。

まあ,確かに,私みたいな堅物は,そういう世界のことはとんと分かりません,はい。


「地獄耳」 の意味を B) としているものとして,一度聞いたことを絶対に忘れられないということは,ものすごく辛いことで,地獄のような苦しみを味わうことになる,と説明している本がありました。

まあ,ねえ・・・・。彼にふられて捨てられた悲しみなんて,もう忘れて,早く立ち直りたいのに,どうしてもその彼のことが忘れられないなんてことになったら,まあ,辛いでしょうけど・・・・。でも,ちょっと,この説明は大袈裟すぎるような気がします。


C) の意味については,そいうい意味になる説明がされていませんでしたので,私も何ともコメントのしようがありません。

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** 《参考図書》 **

記号-番号 については,

《参考図書》 リスト
http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

を参照してください。

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