語源 【落ち度】

A) このたびの,弊社の一部商品をクレジットカードでご購入いただきましたお客様に対して,二重引き落としの過ちを犯してしまいましたことは,当方のコンピュータシステムの落ち度によるものです。至急,返金振り込みの手続きをさせていただいております。ご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。

B) T大学の教育学部の推薦入学試験の小論文試験で,A専攻の受験生とB専攻の受験生に対して,問題用紙が入れ違って配布されてしまった。採点の段階で,その間違いに気づいたが,大学側の試験担当者の落ち度によるミスだったので, 1 週間後に改めて,小論文の試験を実施することになった。


このように, 「落ち度」 は,何かの問題が起きたとき,その問題を起こした側の 〈過ち,過失〉 を意味することばとしてよく使われます。


『広辞苑』 (第7版) で 「おちど [落度] 」 を引くと, 〈→ おちど [越度] 〉 となっています。

その 「おちど [落度] 」 のすぐ次ぎに 「おちど [越度] 」 の見出し語があります。

「おちど [越度] 」 は, 〈ヲツドの転。 「落度」 とも当てる〉 とあって,意味は 〈あやまち。手おち。失敗〉 となっています。


要するに,もともとは 「越度 (おつど) 」 ということばだったのです。

このことばのもとは,律令制の用語で,関所を正規の方法で通らないで,山の中の道なき道を通って不法に越えることの意味でした。 「越度」 の 「度」 は 〈渡る〉 ことを意味したのです。つまり, 〈関所を不法に越え渡る〉 ことだったのです。

しかし,多くのことばにも言えることですが,ことばの意味というのは,使われているうちに徐々に変化していくことは,そんなに珍しいことではありません。

「越度」 の 「度」 は,そのうちに 〈制度〉 つまり 〈法律〉 の意味に捉えられるようになって, 「越度」 は 〈違法〉 〈罪を犯す〉 というような意味にも使われるようになりました。

それが,さらに近世になって, 〈法を犯す〉 ほど大げさでなくても,もっと単純に 〈度を越す〉 〈過ちを犯す〉 〈ちょっとしたミスをしでかす〉 程度のことも 「落ち度」 の対象範囲に入るようになってきました。

そして,そのような意味の類義語 「手落ち」 に引っ張られて, 「落ち度」 という漢字表記が当てられるようになったという次第のようです。


まあ,ねえ・・・・。 今の時代では,過ちを犯した側が,自ら 「落ち度」 と言って謝れば, 〈たいした罪ではない〉 という印象になると思って,気軽に 「こちらの落ち度で・・・・・」 と使われる傾向があります。

「落ち度」 の語感に欺されないで, 「落ち度」 の内容や程度をよく判断して,必要があれば,その 「落ち度」 の罪を徹底的に追及することも必要だと思います。

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** 《参考図書》 **

記号-番号 については,

《参考図書》 リスト
http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

を参照してください。

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