語源 【半畳を入れる】

A) モリ 「おい,ナッシーって変わってるよな。魚貝類がいっさいダメってぇことだぞ」
コバ 「えっ,ほんとか・・・・。 でも,アイツ,こないだカマボコをうまそうに食べてたけどなあ」
ヤマ 「それ,きっと,カマボコが魚だってこと知らねえんじゃねえの。これぞ,まさにカマトトってやつさ」

B) ショウ 「後藤クン,今年も東大落ちちゃったみたいだぞ。これで,4年連続だよな。アイツんとこ,両親が東大出で,2人の兄貴も一発で東大に受かったのになぁ」
タクヤ 「まあ,なあ・・・・。トンビがタカを生むのは時々あるみたいだけど,アイツんとこは,タカがトンビを生んじゃったんじゃねえの」


上の例文の A) のヤマさんも, B) のタクヤも,からかったり,茶化したりの言い方をしています。

何人かの会話の中で,このような 〈からかい〉 〈やじ〉 〈茶化し〉 のことばをはさむことを 「半畳を入れる」 と言います。


この 「半畳を入れる」 は,本来は芝居のことばでした。

昔の芝居小屋には,桟敷席と土間席がありました。

桟敷席は,殿様や武士,大店の商店の旦那衆など,裕福な人たちのための観覧席ですが,その多くは,実は芝居のことはそんなに詳しくない人たちでした。

それに対して土間席は,普通の土や草の上に直に座る観客席でした。でも,土の上にそのまま座るのは,痛いし,衣服も汚れます。

そこで,興行主は,畳の半畳ぐらいの敷物を観客に貸し出しました。 (売ることもあったようです) まあ,ゴザの座蒲団のようなもので,どちらにしても粗末なものだったようです。

しかし,そういった安い粗末な席の観客の中には,芝居についてはかなり目の肥えた 〈通〉 の人がけっこう多かったということです。

その 〈通の観客〉 たちは,芝居がおもしろくなかったり,役者の演技が下手だったりすると,だんだん焦 (じ) れったくなってきて,ついには半畳の座蒲団を舞台に投げ入れることがありました。

こういうことは,誰か数人の人がやり出すと,あとは集団心理が働いて,周りの芝居のことはよく分からない人たちも,つられて同じように座蒲団を投げるようになってしまいます。

まあ,今風に言えば,一種のブーイングです。

これが, 「半畳を入れる」 のもともとの意味です。


私は,芝居を劇場へ言って直接に見たことがありませんので知りませんが,今,芝居でそういう行為はないのではないでしょうか。芝居の観覧は 〈高級な趣味〉 なので,そういった 〈はしたない〉 ことはするわけにはいかない,んでしょうかね。


現代で, 「半畳を入れる」 が目撃できるのは,大相撲です。

横綱や大関が,平幕の力士に負けたりすると,たくさんの座蒲団が土俵に向かって投げ入れられるのは,テレビでも見ることがあります。

https://youtu.be/pP8yHFDNORU

ただ,この場合は,横綱や大関の不甲斐なさに対する怒りなのか,勝った平幕力士に対する賞賛なのか・・・・・・。


また,プロ野球の試合でも,一方のチームがあまりにも不様 (ぶざま) な負け方をすると,そのチームの応援席から,メガホンや空き缶などがグランドに投げ入れられたりすることがあります。

こちらの方は,明らかに負けたチームに対するファンの腹立たしさによるものです。気もちは分からないでもないですが,この場合は堅いものもあって危険ですから,やめた方がいいですね。


このようなことから,最初の例文のように,芝居やスポーツの試合だけでなく,一般の会話の中でも,からかい半分に 「半畳を入れる」 ということばが使われるようになりました。


国会の議会や委員会などで,答弁になっていない答弁を繰り返したり,誰が聞いたってウソと分かる答弁なんかをしているのを見ると,それこそ 「半畳を入れたく」 なってしまいます。

国会専用に,上手に投げればフリスビーとして仕える,円盤状の座蒲団を開発すればいいのに・・・・・。


なお, 「半畳」 については,雅楽からきたとする異説もあります。

雅楽の曲は,一つの曲がいくつかの小曲で構成されていて,その小曲のことを 「一帖 (いちじょう) 」 というのだそうです。

その一帖の真ん中でまた二つにわけて,そのそれぞれを半帖と言います。

演奏上,賑やかで面白くするために,その半帖のところから,拍子をちょっと変えて,騒々しくなるように演奏することがあります。それを 「加え拍子」 と言いますが,それが,芝居の途中で,観客がヤジをいれたりして騒がしくなることに通じることから, 「半帖を入れる」 という言い方が生まれたという説です。

すみません。私が雅楽のことをよく知りませんので,うまく説明できません。

どうしても,詳しく知りたい方は,ご自分で調べてください。

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** 《参考図書》 **

記号-番号 については,

《参考図書》 リスト
http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

を参照してください。

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