語源 【くつろぐ】

ことばの意味なんてものは,学校の授業で教えられたり,自分で辞典で調べたりして知ることよりも,特に誰かから教えられなくても,子どもの頃からの日常の生活の中で,経験的にいつの間にか知っていくことの方がはるかに多いものです。

この 「くつろぐ」 もそういったことばの一つでしょう。


私も,小学生の頃,親戚の家に行ったり,友だちの家に遊びに行ったりした時に,私がかしこまって座っていると, 「そんなに堅くならないで,くつろいでちょうだい」 なんて言われたものでした。

そんな時に, 「〈くつろぐ〉 とは,これこれ,こういうことだよ」 なんて説明があるわけではありません。でも, 「くつろいでちょうだい」 と言われると,なんとなく 〈窮屈でなく,楽にしていい〉 というようなことを言われたと分かるものです。

この場合の 〈楽にする〉 は,姿勢とか格好といった身体的なことだけでなく,気もちや雰囲気といった精神的なことにも当てはまります。要は, 〈ゆったり,のんびり〉 することが 「くつろぐ」 なのです。


しかし,そういう状態になることを,なぜ 「くつろぐ」 と言うのか,いくら考えを巡らせても,なかなかその答えにたどりつけません。

仕方がないので,辞典をあたったみました。この 「くつろぐ」 の語源を取りあげている本はあまりありませんでした。

下の 《参考図書》 にあげたほとんどの本が, 「くつろぐ」 は 「くつ」 + 「ろぐ」 の語構成としていました。

「くつ」 は 〈くちる (朽ちる) 〉 または 〈くずれる (崩れる) 〉 からきているとされています。 「くずれる」 は古語では 「くづれる」 です。

要するに,堅く,きつく縛られたり,締めつけられていたものが,朽ちて,あるいは崩れて緩くなった状態をいっています。


「ろぐ」 は,その直前の語を受けて,そういう状態になることの動詞をつくる語尾ということになります。つまり, 「くつろぐ」 は, 「くつ」 の状態になることをいう動詞になるわけです。

「たじろぐ」 の 「ろぐ」 や, 「おどろく」 の 「ろく」 も同じものと思われます。


上に書いた語源説とは違う説を書いている本もありました。

〈窮屈な状態を軽 (かろ) くする〉 の意味での 「屈ろく」 から 「屈ろぐ」 になったという説です。


いずれにしても,もともとは身体的に楽な状態にするのが原義だった 「くつろぐ」 が,時代の経過とともに,心理的・精神的にも楽な状態,つまり 〈気もちを緩める〉 ことにも使われるようになってきました。


私自身は,特に目上の人の前では必要以上に緊張して堅くなってしまうタチでしたので,大学の教員になって,学生たちと接する時は,できるだけ学生がくつろげるようにと気をつかったものでした。まあ,多分,学生たちの多くは,大学教員にしてはフレンドリーな先生だと思ってくれていたのではないでしょうか。

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** 《参考図書》 **

記号-番号 については,

《参考図書》 リスト
http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

を参照してください。

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