《ア・ラ・カルト》 三日月よりも細い月

先日,あるテレビドラマを見ていたら,細~い三日月が画面に大きく映し出されました。その月の手前を雲が流れていました。 (下の写真は,ドラマの画面そのものではありませんが,イメージとしてはこんな感じでした)

細い三日月(2).jpg

そのドラマの状況設定としては,夜の 9 時過ぎから 11 時ぐらいのはずでした。

その場の状況が,ちょっとスリラーがかった場面でしたから,そのような月を見せることによって,不気味な雰囲気を視聴者に与えようとしたのだと思われます。


しかし,このような細い月が,夜の 9 時過ぎに見えるということはありえないのです。

これだけ細い月が見えるのは,月がまったく見えなくなる新月の日の翌日ぐらいです。

三日月というのは,新月の日から 3 日目ぐらいに見える月ですが,写真の月はまだ三日月というには細すぎます。


ここで理解しておく大事なことは,月の見え方が細いほど,地球からの見え方として月は太陽に近い方向にあるということです。

月と太陽の見かけ上の位置が離れるほど,月は太く見えるようになります。

月が最も大きくなる満月では,月と太陽は,地球をはさんでちょうど反対の位置関係になります。言い換えれば,地球から見て,月と太陽は 180°離れていることになります。

上の写真のような細い月ですと,地球から見て月と太陽は 10 ~ 15°程度しか離れていないということです。要するに,こんな月が見えるのは,日没後の西の空の地平線なり,太陽が沈んだ山のすぐ上ぐらいの低い位置に,せいぜい 1 時間ほどの時間,まだ西の空が完全に暗くなる前の時間帯なのです。

ですから,ドラマの時間設定が夜の 9 時以降なのに,こんな細い月が空高くに見えるということは,絶対にありえないことなのです。


その状況の不気味さを表現しようとする技法なんだから,そのくらいのことは許容していいんじゃないか・・・・,という見方もあるかもしれません。

まあ,確かに,このドラマは, 2 人の主人公が,石段をもつれながら転がり落ちたことによって, 2 人の心が入れ替わってしまった,という現実にはありえない設定をしているわけですから,そんな月のことなんていいじゃないか,と言われるかもしれません。

でも,私は,それは違うと思います。

もし,そのありえない月を,ドラマの制作者側が意図的に取り入れたのなら,その意図した効果が十分だったかどうかは別として,まあ許容できるかもしれません。

しかし,このドラマは,そこまでオカルト的なものではありません。あれは,どう見ても,制作者側が,あんな時間にあのような月は見えないという知識がなくて,そういう画面を挿入してしまったとしか思えません。

時代劇の映画に,電線が映ってしまっていたとか,秋の季節設定のはずなのに,農家の庭に満開の梅の花があったりするのと同じようなミスだと思います。


それを考えると,新聞や雑誌,書籍の製作過程に校正というチェックがあるのと同じように,映像の製作過程にも,チェック作業が必要なのではないかと思ったりします。


[追記]  2021.04.18

昨夜,新しく始まったテレビドラマを見ていたら,やはりありえない三日月が画面に現れました。

今回の 「ありえない」 は次の 2 点においてです。

1) 時間設定としては,夜の 8 時は過ぎていると思われます。夜 8 時過ぎに三日月が見えることはありません。

2) 三日月が,次の写真の b のような角度になっていました。

三日月X.jpg

三日月が,この b のような角度になるとすれば,それは正午頃の場合です。しかし,真っ昼間にこんな三日月は,太陽の明るさに負けて見えるわけがありません。

※写真 b は,私が, a の写真を作画ソフトを使って,故意に左に 90°回転させたものです。





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