語源 【暮れなずむ】

今の 20 歳ぐらいの若い世代の人は,俳優:武田鉄矢は知っていても,彼が若い頃は歌手だったことを知らない人もいるかもしれません。下の写真の真ん中が,若き頃の武田鉄矢です。

海援隊.gif

3人組のグループ 「海援隊」 のボーカルで歌っていて, 「贈る言葉」 という歌を大ヒットさせました。

この歌は “暮れなずむ町の 光と影の中” というフレーズで始まります。

海援隊の歌をここに貼り付けようと思ったのですが, You Tube にアップされている動画は,削除されてしまうことがありますので,私の下手なカラオケで我慢してください。

「贈る言葉」
https://1drv.ms/v/s!AlZQjsp1JOKClAm15jLUQbxcXerJ?e=0PgNZI

ただ,この歌を知っている多くの人が,この 「暮れなずむ」 を 〈日が暮れてしまった〉 というような意味に思っているようなのです。それは間違いです。

「暮れなずむ」 とは, 〈日が暮れそうにみえて,なかなか暮れない〉 状態を表すことばなのです。

冬の間,特に 1 月から 2 月頃は,夕方 4 時ぐらいになって,空が暗くなりかかったかな,と思っているうちに,あっという間に日が暮れてしまいます。 4 時半にはもう夜といっていいほどに暗くなります。

ところが, 3 月も中旬になると,夕方,日が暮れ始めたかな,と思っても,それまでのようになかなか一気に暗くはなりません。あたかも,空が,日暮れになることをためらっているかのように,暗くなるまでに思いのほかもたもたしていて時間がかかるようになります。その状態が 「暮れなずむ」 です。

「なずむ」 は,古語では 「なづむ」 で, 〈ものごとがすんなりと進行しない〉 〈進み方が滞る〉 というのが原義で,そこから 〈ためらう〉 〈思いのほか時間がかかる〉 というような意味にも使われたりします。

ですから 「暮れなずむ」 は 〈日が暮れるのに,思った以上に時間がかかる〉 ことを言っているのです。

「なずむ」 は,あえて漢字で書くと 「泥む」 です。

まあ,普通の水のようにさらさらと流れていかないで,泥ですから,ちょっと動いては止まり,また動いては止まり・・・・・というような進み具合を思い浮かべればいいでしょうか。


なお,このことばとの対比で, 「つるべ落としに日が暮れる」 という言い方があります。

こちらは,秋になって,急に日が暮れるのが早く感じられる状態を表すことばです。

語源 【釣瓶 (つるべ)/つるべ落とし】
https://mobility-8074.at.webry.info/202003/article_24.html

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** 《参考図書》 **

記号-番号 については,

《参考図書》 リスト
http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

を参照してください。

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