語源 【けしかける】

「けしかける」 という行為には 2 つのパターンがあると思います。

1) 動物を (ほとんどの場合,犬を) けしかける
 どろぼうとか,暴力的にこちらに向かってくる人に対して,自分が直接に対決するのは恐いし勝てる自信がないので,犬をけしかけて,相手を退散させようとする。時には,単なる悪意で,誰かに自分の犬をけしかける人もいます。

2) 誰かに,悪知恵などを入れてけしかけて,何か悪さをするようにそそのかす
 この場合は,けしかける側の人は,自分は表面に出たくない,もしコトが大きくなっても自分は責任を免れたいというズルさがあるわけです。

もちろん,もともとは 1) の 「けしかける」 が本来の使い方で, 2) はその応用的な使い方でした。

その 1) の場合の 「けしかける」 の語源として,有力な 2 つの説があります。

a) 犬に躾をしたり,命令したりする場合,もともと犬は人間の言葉を理解できるわけではありませんから, 1 音 (おん) か 2 音の繰り返し語を使います。 「チンチン」 とか 「ワンワン」 などです。 で,犬を何かに向かって走らせる時に,昔は 「シケシケ」 と言っていたというのです。 「シケシケ,シケシケ」 を何回か連続して言うと, 「ケシケシ」 になってしまいがちです。その 〈 「ケシケシ」 のかけ声を掛ける〉 ことから 「けしかける」 ということばができたという説です。

b) 「けしかける」 は, 「け」 + 「しかける」 という説です。 「しかける」 は 「仕掛ける」 で, 〈働きかける〉 〈相手に何かをさせる〉 というような意味です。 「け」 は,発語 (ほつご,はつご) といって,意味はあまりなくて,語調を整えるために語頭に添えられる音 (おん) のことです。 「さまよう」 の 「さ」 , 「とまどう」 の 「と」 などもこの発語ということです。


古語では 「嗾く (けしかく) 」 と言い, 〈そそのかす。おだてる〉 という意味で,近松門左衛門の人形浄瑠璃にけっこう出てきているようです。実際にはもっと古く,室町時代あたりにはすでにあったことばだということです。


私が小学 5 年か 6 年の頃だったと思います。何県でのことか覚えていませんが,悪いおじさんが,自分の犬を子どもにけしかけて,子どもが大声で泣き出したところへ,自分が登場して子どもを助けて,その子の家まで連れていって,助けたお礼にと,食べ物や小銭を親から貰うという小悪党のことが新聞に載りました。

その頃,私の家でも犬を飼っていましたが,ウチの犬はけしかけても,子どもに怖さを感じさせないから,そういう悪さはできないな・・・なんて家族で大笑いしたのを思い出しました。

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** 《参考図書》 **

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http://mobility-8074.at.webry.info/201606/article_35.html

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